当院の手術

当院の手術

肩関節鏡視下手術について

肩の痛み、挙上困難などがある場合、その原因を診察や、レントゲン、MRIなどの画像で調べます。原因がわかれば、まず内服薬、注射、リハビリテーションなど保存的治療を行ないますが、症状が改善しない場合は手術が必要になります。

17-01 ▲MRI画像

従来は大きく切開して手術しなければならなかったものが、関節鏡を用いることで、侵襲が少なく確実に機能の再建ができるようになりました。また、手術後の痛みも少なくなり、肩が動きにくくなる拘縮など手術後の後遺症も減らすことができます。

つぎに、手術について説明します。

腱板断裂

肩関節には、肩甲骨と上腕骨をつないでいる2種類の筋肉があります。外側の筋肉(三角筋)と内側の筋肉(肩甲下筋、棘上筋、棘下筋)があり、内側の筋肉が上腕骨についているところを腱板といいます。この腱板が切れると、肩の痛みや運動機能障害が起こります(図1)。

▲図1

若年者の断裂や、注射、リハビリテーションなど行なっても炎症、痛みが続く場合、力が入らない・挙上できない場合が手術の適応です。手術は5~6箇所1cm程度皮膚を切開し、ここからアンカーという糸のついた小さなネジを大結節という本来の腱板が付着している上腕骨に挿入します。この糸を腱板に通し、腱板断端を上腕骨に縫合固定する方法です(図2)。

▲図2

ただし、断裂が大きくて元の位置まで届かない場合、自分の筋肉や人工の布を足らないところに補充することがあります。後療法は手術後3~6週間は肩関節外転装具を使用します。手術後3カ月くらいで日常生活上不自由がなく軽作業可能となります。手術後6カ月で重労働可能となります。この間、可能な範囲内でのリハビリ通院を要します。

 

反復性肩関節脱臼

反復性肩関節脱臼とは、外傷によって肩甲骨側の関節の前下方についている軟骨(関節唇)や肩甲骨と上腕骨をつないでいる靭帯が切れ、何回も上腕骨が肩甲骨の関節から外れる(脱臼)状態をいいます(図3)

▲図3

初回脱臼は腕を外旋位に固定して(小さく前ならえの状態)保存的に加療します。しかし、2回以上はずれた場合は、靭帯がゆるんだり、関節唇(軟骨)が損傷したりしているため手術の適応になります。手術しないで何回も脱臼を繰り返すと、肩甲骨、上腕骨の骨が削れてきてますます脱臼しやすくなります。

▲図4

手術は、3箇所1cm切開を加え、糸のついたアンカーというビスを4個くらい肩甲骨の痛んだ関節唇の部分に挿入し、緩んだ靭帯の修復を行ないます(図4)。

手術後は3週間装具を使用します。おおよその目安として、手術後3カ月で日常生活上不自由がなくなり軽作業可能、6カ月でスポーツ復帰可能となります。

このほかに、リハビリテーション、内服薬、注射などの保存的治療でも肩関節の可動域が改善しない肩関節拘縮(五十肩)や、石灰沈着腱板炎、腱板と肩甲骨の肩峰とがひっかかるインピンジメント症候群、野球肩などに対しても関節鏡で手術を行なうことがあります。

大腿骨頚部骨折に対する手術

老人の骨折は、骨が弱い(主に骨粗鬆症)ことにより、軽い外力で骨折が起こりやすいという特徴があります。また骨折の起こりやすい部位も手首(橈骨遠位端骨折、コーレス骨折)、肩のつけね(上腕骨外科頚骨折)、背骨(脊椎圧迫骨折)、それと、もものつけねの骨折(大腿骨頚部骨折)で、老人の4大骨折と呼ばれています。

この4つの骨折の中でも、大腿骨頚部骨折がもっとも重要な骨折です。それは単なる骨折にもかかわらず、いろいろな合併症をひきおこし、生命にかかわることが少なからずあるからです。

この骨折には2種類あります。

▲図1

大腿骨頚部内側骨折(関節内骨折)(図1のA)と大腿骨頚部外側(転子部)骨折(関節外骨折)(図1のB)です。どちらも50歳以上の方に多い(50歳未満では稀です)のですが、後者が10歳ぐらいさらに高齢で起こります。すなわち50歳~60歳代では大腿骨頚部(内側)骨折(関節内骨折)であり、80歳~90歳ですと大腿骨頚部外側(転子部)骨折(関節外骨折)であることが多いのです。また、骨折した時の痛みは大腿骨転子部(外側)骨折がはるかに痛く、立つことも歩くこともできません。(前者では、歩けることもあります)

大腿骨頚部骨折の特徴は

  • 老人に多い
  • 女性に多い(骨粗鬆症であることが多い)
  • 人体の骨折でもっとも骨のつきがわるい(大腿骨頚部内側骨折の方のみ)
  • 骨折にもかかわらず、いろいろな全身的合併症、局所的合併症を引き起こし、死の転帰をとることもある。
  • 例外を除いて手術をする。

どちらの骨折も手術が必要です。

骨折のズレ(転位)があってもなくても、早く歩けるように(早期離床、早期リハビリ)手術をします。それは、この骨折で、数日間ねているだけで、肺炎、膀胱炎(尿管結石なども)、褥創(とこずれ)などの合併症で死に至ることもあります。時にはじっと寝ているために老人性認知症になって、あばれたり、わめいたりして、看護人を困らせることもあります。これらの合併症を防ぐためには、一日も早く手術して、一日も早く起きて歩くこと―これがこれらの合併症を防ぐもっともよい方法だからです。

この骨折の起こる部位は図1のように“く”の字形に曲ったところということと、足をついて歩けるように、骨折したところに体重の3~5倍の力が加わっても大丈夫な金属で骨折部を固定しないといけないので、この手術はむつかしい手術の一つです。それでも近年は手術の技術も、骨折部を止める金具も発達して成績は非常に向上しています。この骨折の内固定具(金属)の原理は、図2のように骨折した部分の骨の中に金具(ボルトまたは3翼針)を挿入して、骨折部がズレようとする力を、骨折部への圧迫力にかえる。そして、この部にかかる体重という重みを、このボルトあるいは3翼針と連結したプレート(板)部分で吸収しようというものです。

▲図2 手術方法

最近は、当院でこのプレートにかかる巨大な力にたえるようにこの部分を内方に移動させるガンマー釘(あるいは\釘)というものをよく使っています。

また、大腿骨頚部内側骨折は、人体の骨折の中でもっとも骨がつきにくいし、ついたとしても骨頭壊死などの合併症が約3分の1に発症します。そのため最初から、骨折をつけることをせず、人工関節(人工骨頭)にすることもあります。(若い人には人工骨頭は使いません。また、大腿骨転子部骨折でも人工骨頭はまず使いません)

術後のリハビリは、すぐに足をついて歩くようにします。こういうことによって生命が救えるのです。

腰部脊柱管狭窄症に対する手術

図1 正常な状態

▲図1 正常な状態

背骨の腰の部分の腰椎には、脳・脊髄から続く神経が通る管が柱のように上下に貫いています。これを脊柱管と呼んでいます。この腰部脊柱管を通る神経は下半身の知覚・運動等を司っていて、腰椎から根っこのように順番に枝分かれし、それぞれの役目の部位につながっています(図1)。


▲図2 脊柱管が狭窄されている状態

20歳代から始まる背骨の老化や酷使、炎症、外傷などのため背骨の柔軟材やクッションの役割をしている椎間板が傷み、腰椎の骨自体の変形、靱帯の肥厚(厚くなること)や骨化のため、あるいは元々脊柱管が狭窄(狭くなること)し、神経を圧迫することがあります。この状態を脊柱管狭窄症といいます(図2)。


症状は下肢の痛み・しびれ・脱力などで、長い距離を歩くと下肢のしびれ・脱力のため歩けなくなり、少し休憩するとまた歩けるようになります。これを間歇跛行といい、腰部脊柱管狭窄症の特徴的な症状です(図3)。

▲図3 間歇跛行(かんけつはこう)

症状が軽い場合は、安静・薬剤の投与・神経根や硬膜外のブロック(痛み止めの注射)・コルセット装着・牽引等により改善する場合があります。しかし重度の痛み・歩行障害等が続き長期間日常生活に障害がある場合や、神経の麻痺症状が重篤な場合(重度の場合は膀胱直腸障害を伴う)は手術をして、神経の圧迫を取り除き症状の軽快をはかる必要があります。

手術は全身麻酔で脊髄神経の後面のふたをしている椎弓という骨と靱帯を切除し(椎弓切除術)、脊髄神経を圧迫しているヘルニアがある場合は摘出します。これにより神経の圧迫がとれます(除圧といいます。図4術前、図5術後)。

▲図4 術前

▲図5 術後

この操作をMRIや脊髄造影の検査で認められた狭窄部位に加えます。腰椎に不安定性が強い場合は固定術(自分の骨を移植し、金属で支えをする手術)を併用します。手術後はコルセットをして姿勢指導・腰痛体操・下肢筋力強化等の十分なリハビリを行ない、入院治療期間は術後約4週間です。

手術は神経を圧迫している原因を取り除き、神経の症状(麻痺や痛み)を取り除くものですが、神経の圧迫が著しい場合には神経が一部分回復できなくなっているときがあり、その場合はしびれや筋力の低下が残ります。そのようにならないためには、早期診断と早期治療が重要です。

頚髄症に対する頚部脊柱管拡大術

頚椎は脊椎の中でも頚の部分を形成する骨で第1頚椎から第7頚椎まであり、椎間板や靱帯により連結されています。頚椎のほぼ中心部は脊柱管といって脊髄が保護されている大切なトンネルです。頚椎症は椎体と椎体の間にある椎間板の加齢によって起こる病気です。各椎体の後方すなわち脊柱管の前方には縦に連なっている後縦靱帯があります。頚椎症や縦靱帯が骨に変わる後縦靱帯骨化症では頚痛や肩こりだけではなく、脊柱管が狭くなるために脊髄が圧迫されて、手足や胸部、腹部などのしびれや字が書きにくい、はしが使いにくい、ぼたんがはめにくい等、手先が不器用になったり、歩行時つまづきやすい、スリッパが脱げやすい、杖が必要になる等の歩行障害をきたしたり、時には排便、排尿障害をきたすこともあります。これが頚髄症です。

頚痛や肩こり、上肢の痛みやしびれ等上肢症状のみの頚椎症や後縦靱帯骨化症は大部分の患者さんで手術をしなくてもベット上での安静や頚椎牽引、カラー装着等の保存的治療で軽快します。頚髄症の場合は症状が長びけば長びくほど障害が大きくなり日常生活に支障をきたし回復が困難になります。したがって悪化する傾向があれば早めに手術を行なうことが重要です。

手術方法は広範囲に脊髄が圧迫されていたり、生まれつき脊柱管の狭い人では脊柱管を拡げる脊柱管拡大術が行なわれます。全身麻酔下にうつ伏せとなり、後頚部の皮膚を切開し、脊柱管の後方部分を形成している椎弓を露出します。椎弓の両側に小さなエアードリルで溝を形成し椎弓の前方を一部残し薄くなるように削ります。(図1)

▲図1 椎弓の両側にエアードリルで溝を作成。 一方を小さなパンチで咬除する。

▲図2 反対側を蝶番としてドアを開くように脊柱管を拡大する。

 一方を小さなパンチで咬除しますと、脊髄硬膜が見えます。残された椎弓側の溝に突起より採取した小骨片を移植します。小骨片を移植した側を蝶番としてドアを開くようにして脊髄の圧迫を取り除きます。(図2)熟練した脊椎外科医が手術をすれば1時間前後の手術時間です。適切な時期に手術を行なえば手のしびれや動きもよくなり、歩行もしやすくなります。(図3・4) 以前は手術後2週間程度臥床していましたが、最近では特殊な装具を使用して手術翌日より起坐、歩行を希望する患者さまが多いようです。

▲図3 手術前のMRI 広範囲に脊髄が圧迫されている。

▲図4 手術後のMRI 脊髄はよく除圧されている。

人工膝関節の手術

1.はじめに

人工膝関節の手術は、長期にわたり「痛くない膝」を獲得するために、行なわれる手術です。人工股関節の手術と同じように、膝関節疾患の治療としては最後の手術というべき手術です。 膝関節の治療法には、薬物療法(消炎鎮痛剤、ヒアルロン酸製剤などの関節内注入など)、装具療法(楔状足底板、支柱付装具など)、リハビリテーション(筋力訓練、歩行訓練、日常生活指導など)などの保存的療法と手術療法(関節鏡視下手術、高位脛骨骨切り術、人工関節置換術など)があります。 変形が高度で、ある年齢(だいたい70歳以上)に達した方で、痛みが高度なために日常生活が著明に制限されている場合で、十分な保存的治療にもかかわらず、その効果がない場合には、当院では人工膝関節置換術をお勧めしています。

2.人工膝関節の効果

人工膝関節置換術の効果は、除痛効果です。「痛くない膝」が獲得できます。手術後の膝関節の可動域(膝の動く範囲)は、一般的には100~130°曲がります。そして、日常生活に必要な膝関節機能の回復が得られます。

3.手術方法

人工膝関節の手術は、膝関節の前面に切開を加え、大腿骨・脛骨・膝蓋骨を人工膝関節の形状に合わせて骨切りを行ない、金属・ポリエチレンなどで関節面の置換を行ないます。

▲手術前(写真1)

▲手術後(写真2)

4.リハビリテーション

手術した翌日よりベッド上に座っていただき、2日目より車椅子での移動が可能となります。歩行器・松葉杖を使用しての歩行訓練よりはじまり、約4週間で退院となります。

5.手術の成績

除痛効果は非常に安定しています。10年後も大多数の方が問題なく生活されています。

6.手術後の注意点

人工膝関節は、あくまでも人工物です。長期間使用するためには、手術後の定期的な検査が必要です。手術後の機能訓練・日常生活動作などについては、医師の指示を守ってください。また、異常を感じたときには、直ちに医師の診察を受けていただくことが必要です。

7.人工膝関節手術の問題点(合併症)

細菌感染、人工膝関節のゆるみ、人工膝関節の破損などがあります。 このような場合には、合併症の治療が必要です。時には、人工膝関節の抜去、再度の人工膝関節置換術が必要となることがあります。 また、用いた人工材料(金属・ポリエチレンなど)による、生体への影響が生じる可能性があります。 詳しくは担当医にお尋ねください。

椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアは腰部脊柱管狭窄症とともに腰痛や下肢痛をきたす代表的な疾患です。 腰椎椎間板ヘルニアの発生は男性に多く、20歳~40歳代に多いとされていましたが、最近では10歳代や70歳以上の人にもみられるようになりました。人間が早く成長し、年をとっても青壮年のように活動的な人が増えたためだと思います。

ヘルニアの発生は椎体と椎体の間にある椎間板の変性を基盤として椎間板に捻転負荷が加わって椎間板の線維輪という部分に亀裂が生じ、椎間板の中心部にある髄核が後方へ移動して下肢の運動や感覚を支配している神経根や馬尾という神経の束を圧迫するようになる状態です(図1)。

図1 椎間板ヘルニアによる神経根の圧迫

椎間板ヘルニアの症状は腰痛や下肢痛に加えて、腰椎の前屈や後屈の制限、前屈あるいは後屈等下肢への放散痛の増強、下肢のしびれ、下肢筋力の低下などがみられます。 腰椎椎間板ヘルニアは問診や神経学的検査でおおよそ診断がつきますが、確定診断のためにはX線検査、MRI、CT、脊髄造影などが有用です。

腰椎椎間板ヘルニアの治療は高度の下肢麻痺や排尿、排便障害などの膀胱直腸障害をきたしていないかぎり、まず保存的治療を行なうのが原則です。保存的治療としては安静臥床、薬物療法、理学療法としての温熱牽引、体操療法、装具療法などが行なわれます。腰痛や下肢痛が強い場合は硬膜外ブロックや神経根ブロックを行ないます。 手術療法が行なわれるのは膀胱直腸障害や高度の下肢麻痺を呈する例、保存的治療によっても症状が軽減しない例、あるいは症状が反復し日常生活や仕事がかなり制限される例です。手術方法としては前方法と後方法がありますが、多くは後方から椎間板ヘルニアを摘出する手術が行なわれます。 私たちは時には前方からの手術も行ないますが、多くは手術侵襲の少ない顕微鏡を用いた後方からの手術を行ないます。

手術は全身麻酔でうつ伏せの状態で腰部に2.5~3cmの小さな皮膚切開を加えます。脊椎の後方部分の一部を露出し、椎弓の患部を切除し、顕微鏡下に明るい視野のもと硬膜管や神経根を小さな金属ヘラで愛護的によけて小さなパンチでヘルニアを摘出し、硬膜管や神経根の圧迫を取り除く方法です(図2)。

図2 顕微鏡下でのヘルニアの摘出

手術時間は約30分程度で出血もごく少量です。手術後は早期離床も可能ですが、再発を防ぐため一週間はベット上で過ごしていただきます。リハビリテーションの後、手術後3週間で退院となります。

人工股関節の手術

1.はじめに

▲人工股関節術前写真

人工股関節は、股関節疾患の治療としては、最後の手段というべき手術法です。当院でもある一定年齢に達した方で、それまでにいろいろな治療を行なってきましたが、やはり痛みが強く続き、日常生活が困難で、かつレントゲン上でも関節の破壊がひどく(人工股関節術前写真)、関節をそのまま残しての治療がこれ以上難しいだろうと判断されれば人工股関節の手術をお勧めするということになります。

2.人工股関節の概略

人工股関節は、あくまでも人工物であって、何年たっても自分の骨に、あるいは自分の本来の関節になることはありません。 ちょうど入れ歯(義歯)が何年たっても入れ歯は入れ歯であって、自分の歯とならないのと同じです。 そして、人工物ですから年月とともに、ちびてきたり古くなったりして、老朽化も起こります。 さらに、人間の体の中で機能しているのですから、生体からの拒否反応(本来の自分のものではないものは体の外に出そうとする生体反応)が起こり、とくに人工股関節と自分の骨との間で、この反応が著明に起こります。そうすると、人工股関節と接融する自分の骨が、いわば溶けてくるようになります。これが人工股関節の“ゆるみ”となってきます。 従って人工股関節には、体の中で使用される期間に、一定の期限があるということになります。 そのため、人工股関節は若い人々に使用されることは珍しく、ある年齢(40歳?50歳?60歳?)以上の方に手術が行なわれるのです。

3.人工股関節の種類

人工股関節の一番の問題は、自分の骨と人工股関節のくっつき具合(人工股関節の固定といいます。)であって、それによって2つの手術方法に分類されます。

(1)骨セメント型人工股関節(写真1)(図1)

▲骨セメント型 人工股関節(写真1)

▲骨セメント型人工 股関節(図1)

(2)ノンセメント型人工股関節(写真2)(図2)

▲ノンセメント型 人工股関節 (写真2)

▲ノンセメント型 人工股関節(図2)

これは、人工股関節と骨とを骨セメントでくっつける方法で、手術をしてすぐ足をついて歩けます。しかし、骨セメントから出る化学物質によって長年の間に骨によくない影響を与えることがわかってきています。 このため、当院では現在、ほぼ65歳以上の方に骨セメントを使用する人工股関節を選んでいます。この方法はなんといっても手術してすぐに足をついて歩けるという長所があります。

 これは、骨セメントを使用しない方法で、人工股関節の表面に新しい骨が進入しやすいように凸凹をつけたり、セラミックのようなものをひっつけたりしています。手術後、ここと自分の骨とがくっつく状態になることを期待する方法です。まだ、これは!!というよいものは見当たりません。この方法では、自分の骨と人工股関節が“なじむ”まで、1ヵ月少々足をつけて歩くことはよくありません。 当院では、ほぼ65歳以下の方にこれを使っています。

4.切開部位

股関節の横を切るか、お尻のところを切るかのちがいです。 前者では、上を向いて(背臥位)、後者では手術をする側を上に向けて横向き(側臥位)で手術をします。 人工股関節を長持ちさせる一つの方法は、理屈に合った正しい方向に人工股関節を入れることと私は思っています。そのため、横向きで手術をすると、方向感覚を誤ることもあり、 それを補正するような多くの手術機械も必要です。 そのため、当院では手術は上向きで(背臥位)で行ない、手術創は股関節の横側にあります。

5.リハビリテーション

原則は手術した翌日からベッド上で座っていただき、元気になったらトイレになるべく早く行くようにします。 骨セメントを使った人工股関節では、3日目頃から車イスで動いたり、または松葉杖で足をついて歩いたり、リハビリをしていただきます。 骨セメントを用いない人工股関節(比較的若い方)では、すぐベッド上で起きたり手術した側の足をつかずして車イス、松葉杖で歩くことはできますが、1ヵ月少々は手術した側の足をついて歩くことはできません。 また、非常に難しい症例(骨の出来具合の悪い方、筋力の弱い方など)では、歩くのが少々遅れたり、しばらくの間、足を引っ張っておくこともあります。

6.人工股関節の利点

痛みから解放されます。(無痛性) 足を踏みしめて歩けます。(支持性) 関節の動きもある程度よくなります。(可動性) この3つの特徴によって日常生活はうんと楽になります。

7.人工股関節の不利な点

これもいろいろあります。一番こわいのは感染(ばい菌が入る)です。その他、人工股関節の“ゆるみ”などがあります。 詳しくは担当医にお尋ねください。