股関節の病気について-その2

【質問】

「股関節の痛みについて質問です。10年程前から股関節の痛みや違和感を覚えるようになりましたが、徐々に強くなり最近では就寝時にも疼き、我慢できない激痛ではないにしろ「つらい」と思うようになりました。5~6年前くらいから整形外科で診てもらいましたが、「たいしたことはないので様子を見るように・・・・」と言われました。ただ、「臼蓋(きゅうがい)のかぶりがやや浅い」ようですが、これも「軽微なものだから心配ない」とのこと。それからは本などを頼りにプールでの運動や体操などしながら過ごしてきました。しかし一向に状態は改善せず、悪化するばかりです。約2年前からは、歩くと痛い・階段を上ると痛い・ヘンな音がしては激痛がはしる・安静時でも(眠っていても)疼くなど、「つらい」と思うようになってきました。再度整形外科をたずねるのですが、相変わらず「心配ない・・・」です。そんな中で「今の段階では何の治療の対象にもならない」といったことを言われ、疑問や不安を持ちました。

あくまで素人的ですが、専門医の本やHPを見て、臼蓋形成不全に対するRAO(骨盤骨切り術)手術の適応の可能性に興味を持ちました。「痛い」「痛い」でいつまで様子を見るのかと思うと、積極的な治療の適応がかなうなら望みたいと思いました。ちなみに、現在左股関節のCE角は21度、Sharp角は45度で軟骨の減りも骨の変形もないそうです。アドバイスいただければ幸いです。」
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【回答】

他人になかなかわかってもらえない痛みでお困りのようです。睡眠時にも痛みがあって、股関節を動かせば雑音がするということです。現在、積極的に手術の話がないのは、44才という年令的なものからであろうと思います。即ち、もう少し待てば(例えば50才を越せば・・・)人工股関節という非常によい方法(後述:メリットもデメリットもあります)もあるということからか、股関節の動きが比較的良く、レントゲン上でもそんなに悪くないということで手術の話は積極的になされないのでしょう。それでも痛いことは痛いのにまちがいありません。おそらく、関節の適合具合が悪くて、脚の位置や、脚の使い方によって、関節炎が増悪しているときに堪えがたい痛みが発生しているものと推測されます。
治療法について私なりの考え方を述べます。

● まず、長途歩行、重いものをもって歩かない、坂道、階段をドンドンと歩かない、体重を増さない・・・などで痛みはどうなるでしょうか。
● 鎮痛剤を使ってみる。
● 以上でよくならないと、2週間程度入院して、悪い方の脚を牽引(ひっぱる)してみる。
これでよくならないと手術ということになります。
手術ということになれば、
● 関節の破壊がごくごく軽度でしたら、ご指摘のRAOがよいでしょう。
● 関節が中等度傷んでいるなら、骨盤骨切り術(キアリーという名前がついている方法がよくなされます)または大腿骨骨切り術。
● 関節の破壊がひどく、関節をそのまま残しての細工(関節温存して、という表現をします)ができないとなれば人工関節ということになります。ただ、人工関節は関節の一部分を切除して、そこへ人工物を入れるわけですから、この手術をして何年待っても、人工物は自分の骨へと変化はしません。人工関節というものは、人間の体は自分の体の中に外から入ったものを(異物といいます)、常に体外へ排出しようとするメカニズム(一種の拒否反応)が働き、いつかは人工関節の入れかえ再手術が必要となってきます。その期間は平均10~20年後といわれています。

44才とお若いのですから、人工関節手術をするには患者さんも医師も勇気が必要です。痛みがひどいようなら、将来の人工関節をも念頭において、何か手術をするというのも一つの方法です。主治医の意見をよく聞いて、ご自分の生活態度、これからやりたいこと、など・・・よく考えて、どの方法を選ぶかを決めてください。

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▲初期の変形性股関節症       ▲人工股関節