股関節の病気について-その1

【質問】

「年齢38歳女性。過去の病気は覚えている限りはありません。以前から右の大腿骨と骨盤の関節(外側)あたりが、車の乗り降りとかあぐらをかく姿勢(外に足を開く)や上半身をねじるときなどに「キャッ」とくる痛みがありました。また、走ったときに足が抜けるような感じがする時もあり、だるさもあります。そこで、近くの大きな病院で診察を受けレントゲンも撮りましたが、「いまのところ異常が見られない」との事でした。最近ではトイレ(和式)にしゃがんだ時でも少し痛みがあります。このままで大丈夫でしょうか?また、股関節の病気ではどのようなものがあるのでしょうか?よろしければ教えてください。」

【回答】

大腿骨と骨盤の関節は、股(こ)関節といいます。あぐらをかくような動作で外側のあたりが痛いということですが、これは股関節に回旋の外力、もっと詳しく言えば外旋がくわわると痛みがくるようです。股関節の病気がひどくなると、屈曲(まげる)、伸展(のばす)、外転・内転(股を開く・閉める)運動によっても痛くなります。外旋だけで痛いようですから、重大な病気ではないようですが、大きな病気の初期症状であることがあります。回旋運動が本当に障害されているようでしたら、精密検査が必要です。レントゲンがまったく異常ないようでしたらMRI撮影が必要なような気がします。また、場合によっては血液検査が必要なこともあります。
整形外科の診察を受け、異常ないということであれば、一応安心して良いと思います。
以下、一般的な股関節の病気に関してお書きします。

1) 変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)
これはレントゲンを撮ればわかります。
2) 特発性大腿骨頭壊死症(とくはつせいだいたいこっとうえししょう)
ある種の薬(プレドニンなどステロイドホルモンの服用)とか、お酒を長年のんでいる(日本酒で2-3合、20年位)とか、ある種の病気のとき。レントゲンあるいはMRIでわかります。
3) 特発性軟骨融解症(とくはつせいなんこつゆうかいしょう)
リウマチのときみられます。
4) 一過性大腿骨頭骨萎縮症(いっかせいだいたいこっとうこついしゅくしょう)
[概念]
青壮年の股関節に限局した骨萎縮が一過性に生じ、自然回復が得られる疾患である。老人の骨粗鬆症と異なり、全身性の骨粗鬆症はない。

[統計]
年齢は20~50歳に及んでいるが、女性では20~30歳で妊娠後期に発症した例が多く、男性では30歳以降の症例が多い。

[病因・病態]
交感神経が関与するとする説、静脈の圧迫によるとする説、骨の吸収の増加によるとする説などがあるが決定的ではない。

[症状・症候]
外傷や感染の既往はなく、多くは片側の股関節痛が生じる。妊娠に関係のない場合は左右差なく発症するが、妊娠後期に発症した場合は左側に多い。股関節痛は、荷重時に増強し安静時には軽快する特徴がある。関節可動域の制限は軽度のことが多い。股関節痛は数カ月の経過で自然にあるいは保存的治療のみで軽快する。(津山直一、黒川高秀:「整形外科クルズス 改訂第3版」東京、南江堂1997年より引用)
(私はこれではないかと考えています。MRI撮影が役に立ちます。)
5) 関節(かんせつ)リウマチ
手の指の関節、あるいは手首から発症しますし、血液検査でかなりわかります。
6) 痛風(つうふう)
稀に股関節にきます。女性では稀です。
7) 関節鼠(かんせつねずみ)
小さい骨とか軟骨の骨片が関節の中に遊離して、走りまわる。レントゲンで多くはわかります。
8) 関節唇の損傷
関節の袋の中に家の軒のようになった軟骨があり、無理な姿勢をした時などに傷めます。手術をすることはありませんが、比較的長く罹ります。MRIでわかります。
9) 骨・軟骨骨折(こつ・なんこつこっせつ)
関節内で小さな骨折が起こる。軟骨で覆われたごく小さな骨片が関節内に遊離している。けがの経験がある。
10) 結核性関節炎(けっかくせいかんせつえん)
40年ぐらい前だと、第一番に考える病気でした。今では非常に稀となっています。関節痛、運動制限、跛行から徐々に進行します。レントゲンとか血液検査で、初期でもまずわかります。
以上が関節内の骨あるいは関節の袋(関節包、滑膜)の病気あるいはケガによるものです。その他関節のまわりの筋肉、腱の病気、ケガもあります。とにかく整形外科医によくご相談ください。