よくある整形外科の病気」カテゴリーアーカイブ

5019:つま先立ち出来無くなった

椎間板ヘルニアになりそれ以降
右だけですがつま先立ちが出来なくなりました。
腰の痛みも収まり何年か後の状態でおこりました。 整形外科の先生曰く「直ぐに来てくれればればよかったのに 「オペしても治る保証ない支障無ければしない方がいいのかもし れない」との事 でも、それから左足に負担がかかるのか左足まで痛くなっています。
爪先立ちが出来るように戻す事は出来ないのでしょうか?
(59歳 女性)

回答

その先生のおっしゃる通りです。椎間板ヘルニアによる神経麻痺で“下垂足”drop footともいわれます。回復は非常に困難です。
腰痛や坐骨神経痛様疼痛があれば手術が必要ですが、手術をしても下垂足はまず治りません。残念です。場合によって下垂足用の装具が必要です。その先生によく相談して下さい。
平成31年1月7日

4809:凍結肩

質問

交通事故で頸部挫傷になり、しだいに右肩関節が拘縮してしまい、首から右肩関節から右手にかけて痛みが生じてます。
今は、リハビリと関節内注射や痛み止めを内服してます。MRIで凍結肩と診断されてますが、保険会社から凍結肩は50肩だから治療費を払えないと言われて、困ってます。主治医は凍結肩は病態だから50肩とは違うとは言ってくれてますが、保険会社が別の医師の意見書を提出するとききません。まだ意見書は出てないのですが、凍結肩と言うとやはり50肩の意味になるのでしょうか?教えて下さい。
(54歳 女性)

回答

肩関節周囲炎(50肩)とは、
「肩関節構成体の退行性変化を基盤として発症し肩関節の疼痛と運動障害を主徴とする疾患群」
                             三笠元彦 整・災害37 1994
「50歳代を中心とした中年以降に、肩関節周囲組織の退行性変化を基盤として明らかな原因なしに発症し、肩関節の痛みと運動障害を認める疾患群」
                             佐藤毅 骨・関節・靭帯 2004
と定義しています。

一方、凍結肩は
 Zuckerman JD et al (AAOS, 1993)では凍結肩を、
「明らかな肩の異常がなく病因を特定できない自動および他動肩関節可動域の著しい制限を有する症例を凍結肩と診断する。」
と定義しています。

また、Zuckerman (AAOS, 1993)によると一次性凍結肩とは明らかな病因のない凍結肩、二次性凍結肩とは内因性病変(腱板断裂, 上腕二頭筋長頭腱炎, 石灰性腱炎など)、外因性病変(上腕骨骨折、鎖骨骨折、肩甲胸郭関節異常、乳房切除術など)、全身性疾患(糖尿病、甲状腺疾患、パーキンソン病等)を合併した凍結肩と定義されています。

2016年1月14日に、日本肩関節学会学術委員会から会員に凍結肩(一次性凍結肩, 特発性凍結肩,肩関節周囲炎, 五十肩)の用語および定義に関するアンケート調査の結果によると

先行する外傷があり肩関節拘縮になった症例にどの診断名を使われますか。
1)二次性(外傷性、外傷後)拘縮肩47.8%
2)拘縮肩33.6%

であり、頭部挫傷による原因があって、著しく肩の動きが悪くなったのであれば,
二次性(外傷性、外傷後)拘縮肩、または、二次性凍結肩 と呼ぶのが良いと思われます。

以上より、あなたの肩の痛み、動きのわるさなどは、この度のけがと関係がないようにも思われませんが、詳しくは主治医によく相談してみて下さい。
(あなたの症状の経過を一番よく知っていらっしゃる方です)
平成28年11月11日

4758:皿の横が痛い

質問

1ヶ月たっても皿の横が痛くてずっと、びっこひくじょうたいです。曲げたりは出来るのに歩いたりすると痛くての状態です。何か原因わかりますか?
靭帯とかに、影響してるんですか?
(44歳 男性)

回答

膝の曲り具合、腫れ、グラツキ感などの臨床症状及びレントゲン、MRIなどで診断を下します。診断ができれば妥当な治療ができます。
お申し出の症状だけでは診断は困難ですので、整形外科を受診して下さい。
平成28年4月22日

腱鞘炎について

【質問】

「3ヶ月ほど前、朝起きると左手首が非常に痛く、近くの病院へ行きました。腱鞘炎と言われ、注射を打ったところ痛みは取れましたが、今度は右手が痛くなりました。同じように注射を打つと、一時は痛みはとれました。しかし、右も左もしばらくすると痛みがおこり、そのまま3ヵ月ほど我慢しながら生活してきました。使いすぎなので、休ませるようにという指導がありましたが、別に酷使した覚えはありません。仕事が忙しいのですが専門病院へ行く必要があるでしょうか。(40歳男性)」

【回答】

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手をよく使う仕事やスポーツなどで腱鞘炎は起こります。多くは手首の親指側つけねの下の骨の突出部「橈骨茎状突起(とうこつけいじょうとっき)」で起こります。ここで、スジ(腱)がトンネル(腱鞘)の中を度々通るために、使いすぎによって、腫れ、ときには小さな出血(炎症症状といいます。)が起こって痛みがでるのです。
治療としては、
1) 手をあまり使わない。(仕事の工夫)
ひねったり、重いものをもったり、同じ動作をひかえる。
2) 手首をあまり動かさないようにする。(包帯で固定する。)
3) 消炎鎮痛剤の入った湿布を貼る、ぬりぐすりをぬる。
4) 電気をかける。ぬくめる。(時には冷やす。)
5) 注射をする。くすりをのむ。
6) 手術
ということになります。
手をひどく使った直後は、アイスノン(冷却枕)などで局所を冷やし、その後ぬくめる、さするというのがよいと思います。何回も痛みがでて、痛いところに2~3回注射をしてもよくならなければ手術をすべきでしょう。

膝関節の治療法について

【質問】

65歳の専業主婦です。半年ぐらい前から右足の膝関節に水が溜まり今では立ったり座ったりが困難になるぐらいの痛みです。医師からは治らないと宣言されました。足首の運動と温熱療法で治療はしているものの、いっこうに改善されず、痛みは増してきています。さらに水の量も増えています。この病気にたいしての治療方法はどこの病院も同じでしょうか。もともと昔から何度か水は溜まっていましたが、ここまでひどくなったのは初めてです。ご返答願います。

【回答】

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膝関節の内側の軟骨が磨り減っている状態(変形性膝関節症)のX線写真(この写真の場合は骨も磨り減っている)

膝に水が貯まることは日本人には多いのです。
多くは女性で、O脚(がに股)になっていらっしゃる方に多いようです。むずかしい理屈になるのですが、年齢的に膝関節内の老化で軟骨などの弾力性が低下した上に、O脚のため歩くときに膝の内側にばかり体重という荷がかかるようになり、膝関節の内側の軟骨が集中的に傷んできます。このために膝の内側の痛みがひどいのです。

膝の水(関節液)は正常な場合でも少し(2~3ml)はあるものです。そして毎日毎日吸収され、また入れかわるようになっています。それが、軟骨が傷むということなどによって、水が異常に増えるのです。これが病的な“水”(関節水腫といいます)です。“水”をとると“クセ”になるという人もいますが、決して“クセ”にはなりません。まだ治っていないのです。水がいつまでも貯まっていると、関節軟骨をさらに傷めるといわれていますので、むしろ抜いた方がよいと思います。
次に手当ですが、原則は膝関節に物理的なストレスを加えることを少なくすることです。

1) 体重を増やさない。
体重が増えると、歩くときに膝にかかる異常なストレスが 3 ~ 5kg 増えると考えてください。一応、目標とする体重として「(身長cm - 100) = 体重」を目指してください。それが達成できたら、これに 0.8 を掛けたぐらいの値が第2の目安です。
2) 膝関節に異常なストレスを加えない。
すなわち重い荷物をもたない。凸凹道を急いで歩かない。坂道、階段は なるべくひかえる。階段の上り、下りはなるべくひかえる。正坐はひかえる。
3) 関節をきたえる。
関節の老化はある程度は人間としてあたり前のこととして受け入れねばなりません。しかし、関節の弱化を防ぐことと、仮に膝に異常なストレスがかかっても、もちこたえられることが重要です。そのためには膝のまわりの筋肉の弱化を防ぎ、できれば少しでも丈夫にする必要があります。

そのためには、イスに坐るか、畳の上で膝をピンとのばして坐って、膝の下に枕か座布団を半分に折っていれます。そして膝を力を入れてピンとのばすことです。このとき力一杯のばすことがコツです。ピンとのばして、こらえる時間―5秒間(ゆっくり5つ数える)が必要です。
5秒間、力一杯力を入れたら、すっかり足の力を抜いて、一呼吸おきます。この繰り返しです。

足首のところに 0.5 ~ 1kg ぐらいの砂糖袋(塩?)をくくりつけるのもよいでしょう。また毎日一定の距離を(目的地を一定にして)ゆっくりと歩くのもよいことです。ただし歩いたあと(歩いているときも)痛かったり、翌日までだるさが残ったりするようだったらやりすぎです。プールの中で歩いたり泳いだりすることは、もっとよいことです。
4) 膝を冷やさない。
寒くなって膝を冷やしたり、夏、扇風機で膝に直接風をあてたりしないようにしましょう。風呂の中で膝をよく暖めましょう。また、風呂の中で、ゆっくりのばしたり曲げたりしましょう。湿布薬はひやりとするために、冷やすのが目的と勘違いされがちですが、湿布薬はそこに塗ってあるくすりが皮膚から患部に入っていくからよいとされています。冷やしたり、温めたりするのが主目的ではありません。あくまでも鎮痛薬が皮膚からしみ込むと考えてください。温シップでも冷シップでもどちらでも効果は同じです。自分に合うものを使ってください。(温シップといえども湿気があるために、それが乾くために気化熱で局所の皮膚温は一時的にはむしろ下がります。)
5) 薬物療法
1. 鎮痛剤(痛み止め)
 内服、注射(筋肉、静脈)、外用薬(貼布、塗布など)、坐薬などがあります。人によって合うものと合わぬも のがあります。また薬ですから副作用もあります。主治医とよくご相談ください。
2. 関節腔内注射
 関節内に直接注射をする方法で、炎症を抑えるステロイド・ホルモンと、ある程度軟骨によい影響を与えるヒアルロン酸製剤の2方法があります。前者はよく効きますが、連用すると逆に関節軟骨を傷めやすくなります。 ヒアルロン酸製剤は、症状をかなり緩和させます。健康保険で1週間に1度、連続5回まで認められています。(サメの軟骨から作った飲み薬というものの効果は医学的には証明されていません。)
6) 手術
A. 関節温存手術
傷んだ膝関節はそのままにして、なんとか少しでも痛みを楽にしようとする手術です。

■ 膝関節内洗浄、デブリッドマン(そうじ)
関節鏡で膝関節内を観察しながら、汚いところを少しずつ削って洗い流し、関節の中全体をきれいにします。

■ 滑膜切除術
関節を構成している関節の袋―関節包の内側の滑膜(かつまく)を削ります。滑膜は関節炎という痛みを起こすもと、あるいは関節水腫のもとになっていますので、ここの悪いところを削ります。これも内視鏡―関節鏡視下で行ないます。

■ 半月板切除術
関節鏡で半月板が傷んで関節の動きに邪魔になっているようでしたら、これを削ります。膝がピンとのびない場合、半月板の一部分が切れて、移動して、関節の動きを邪魔している場合があります。この悪いところを削って半月板の形を整えます。

■ 高位けい骨骨切り術
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高位けい骨骨切り術

O脚(がに股)の場合の歩行では、体重が膝の内側ばかりにかかりやすくなっています。これを矯正する手術です。膝のすぐ下で、外側を広い三角形に骨を切りとって、切った部分をくっつけます。O脚になっているのを、O脚と逆の“く”の字になるように、即ちO脚から“X脚”に矯正するわけです。この部位は骨の血流は盛んで、よく骨はくっつきます。こうすれば水がよく貯まっていても半年もすればすっかりよくなります。(ただし、関節内の悪いところはそのままなので、将来的な予後には限界もありますし、関節鏡で悪いところを削る手術を併用することもあります)

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人工膝関節手術(TKA)
B. 関節を取ってしまう、即ち関節を新しく作る手術…人工膝関節手術(TKAと略す)
以上のような関節自身をなんとか残して、もっともわるいところを処置して、なんとかしのごうという方法 でなく、もうどうしようもない関節 ―― 例えていえばムシ歯で、削って神経を殺してセメントをつめるというような方法でなく、ムシ歯を抜いて入れ歯にするような ―― に、関節の悪いところを全部取って人工のものを入れかえる手術です。 そもそも関節の機能を考えてみると、

 ○痛みがないこと。
 ○立ったり歩いたりできること。
 ○ある程度動くこと。

の3つが必要です。人工関節なら、関節の曲がりが90度(直角)ぐらいしか曲がりませんが、上の3つをほぼ満足させます(最近は90度以上曲がるようになりましたが、正坐ができるようにまではなっていません)。人工関節の手術は、とにかく痛みが取れるので大変よい手術だと思っています。ただしムシ歯に対する入れ歯のような手術ですから、入れ歯で豆を噛んだりするようなこと、例えば山登りをしたり、長い坂道とか、長い階段を行き来するのは余り好ましくありません。また膝の手術にしては大手術ですから、いろいろの合併症もあります。また入れ歯的なものですから、若い方には長持ちさせるという観点でいえばやることはできません。年令的なことは大体50才以上の方がよいと思います。
詳しくは主治医とご相談ください。

大腿骨頭壊死と一過性骨頭萎縮の違いについて

【質問】

「回り回って、大学病院を紹介して頂き、大学病院の股関節の専門の先生に、MRI等を診て頂きましたが、レントゲンを定期的に撮り様子を診るしかないのことでした。入院もしたこともなく、大きな病院にもかかったことが無かったので、頭が真っ白になり、その場で、先生に質問をするのを忘れてしまって、以上の回答しか分からい状態で反省し、次回が2か月後のことで、殆どお会いすることが出来ないので、問い合わせも出来ず悩んでおります。 MRIには、片側股関節部にT1で黒く影があり、T2では、あまり影はなく、もう一枚の真っ黒の画像では、白くなっていました。(レントゲンは、正常のことでした) 現在は、左お尻の後ろが、座っていると、ビリビリして、シップを貼らないと痛くて我慢できません。また、30分ぐらい歩くと、足が痛くなり、変な歩き方になり、夜も痛みます。2日程、十分休めば、痛みはかなり良くなります。 大腿骨頭壊死症と一過性大腿骨頭萎縮症の症状の違いが、完全に分かる方法を教えて下さい。」

【回答】

【大腿骨頭壊死】と【一過性骨頭萎縮】のちがいを私の理解している範囲で比較します。

       大腿骨頭壊死 一過性骨頭萎縮
原  因 不明の場合もあるが、
多くはアルコールあるいは薬物
(ステロイド、ホルモン)あるいは
ある種の疾患。
潜水に従事する人。
明かな誘因なく痛みと跛行
発生頻度
年  齢
男:女=2~3:1
青・壮年期に発生
両側性 約50%
妊娠後期の女性
中年男子
発  症 足を踏み外したような軽微な外傷
で痛みを覚えるようなことがある
が、このときはすでに発症してい
る。
原因なく痛みと跛行
X線像 超早期以外は診断可能。
(骨頭の陥没、関節裂隙の開大)
8~10%で上腕骨頭などにも。
骨萎縮像
数ヵ月でもとにもどる。
MRI 発症後2~3ヵ月もすると明かな
壊死部に特異的な所見がある。
骨頭から頚部にかけてびまん性の
低信号。
予  後 進行する。 数ヶ月で症状改善。

初期には診断のむずかしいこともあります。
主治医の指示に従ってください。

腰痛のはなし

コラム 「腰痛のはなし」

1. 姿勢について

腰痛を起こす原因で最も多いものは、長時間悪い姿勢を続けたためにおこるものや、中腰で重たいものを持ち上げたりして起こるギックリ腰です。
では、よい姿勢とはどういうものでしょうか。壁に背を向けて立ち、かかとが壁から10㎝程度はなれた状態で、腰と壁との間に手が一つ入るくらい(2~3㎝)がよいといえます。
姿勢が悪いために腰痛が起こる人は手が二つも入る人が多いようです。
最も悪い姿勢は、お腹が前に出て。お尻が後ろへ突き出して腰がくぼんだ格好(前わんの増強)です。このような姿勢を続けることにより腰痛が起こりやすいと言えます。

youtu1しかし、姿勢をよくするためには背筋をまっすぐにするだけではだめです。腰のわん曲は骨盤の傾斜で変わってきます。
骨盤の傾斜は正常時には図1の a のようにやや前方に傾いていますが、腰痛が起こりやすい人は、 b のように骨盤の傾斜が強く、お腹が突き出ています。 c のように骨盤が水平に近いようにし、背筋をまっすぐにすることが必要です。
そのためには、骨盤が後方に回旋するように日常生活に注意したり、腹筋や臀部の筋力をつけたり、縮んでいる筋肉を伸ばすことが必要です。

2. 立位で作業するときの注意点

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立位で作業する場合は、片足を足台(10 ~ 20cm の高さ)にのせることにより、腰椎の前わんが少なくなります。
足台がない場合でも、足を前後に開くことにより腰への負担が軽くなります。

3. 歩行時の注意点

歩行時には前かがみになった姿勢や反り返ったような姿勢は好ましくありません。
背筋を伸ばすとどの筋肉にも無理がない自然な歩き方になります。また、手も自然に振るようにして下さい。
靴は自分にあった大きさを選び、足に痛みが出るようなものは好ましくありません。靴のかかとが高すぎると腰椎の前わんが増大するので、かかとは 3cm 以下のものがよいでしょう。

4. 椅子、畳などに座るときの注意点

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椅子に座るときは、高いものは避け背もたれのあるものにし、深く腰をかけましょう。
畳に座るときには膝の痛みがない限り背筋を伸ばした正座が好ましいでしょう。あぐらをかく場合は、座ぶとんを二つ折りにしたものをおしりの下に入れましょう。
車を運転する時はシートを約110度に倒し、深く腰をかけて運転しましょう。同じ姿勢は1時間以内にし、途中で休みましょう。腰とシートの間には小枕をいれるのもよいでしょう。

5. 睡眠時の注意点

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敷ぶとん、マットレスは少しかためのものを選びましょう。眠るときは膝の下に枕などをいれ足を曲げて眠るようにしましょう。
横向きに眠るときは膝と股関節を曲げてエビのように丸くなりましょう。
腹ばいは一番悪い姿勢です。
一日一回は図のような姿勢で、20分程度休息をとることも心がけましょう。

6. 物を持ち上げる時の注意点

両足を軽く前後に開き、物の近くに立ちます。
手の力だけではなく骨盤の回旋や足の力を利用することが大切です。
上半身だけで持とうとすると骨盤が固定され、背筋がそり、前わんが矯正された姿勢となり、ギックリ腰のもとになります。

7. 下肢の筋力や体力の必要性

腹筋や下肢の筋力は腰椎の前わんと骨盤の前傾を減少させ、腹圧を高めるために重要な要素の一つです。また、全身の体力(持久力)や筋肉の持久力が弱まると腰部にストレスが集中します。
したがって、下肢の筋力や体力をつけることが必要です。

8. 自分に適した腰部体操の実施

今まで述べてきた日常生活の注意を守り、またそれらを実行するためには、各個人に適した腰部体操を毎日根気よく行うことが必要です。
体操は医師の処方されたものを行い、腰痛の強いときにはひかえた方がよいでしょう。
また、一度習った体操は一週間後に正しく行えているかどうか医師にみてもらってください。

股関節の病気について-その1

【質問】

「年齢38歳女性。過去の病気は覚えている限りはありません。以前から右の大腿骨と骨盤の関節(外側)あたりが、車の乗り降りとかあぐらをかく姿勢(外に足を開く)や上半身をねじるときなどに「キャッ」とくる痛みがありました。また、走ったときに足が抜けるような感じがする時もあり、だるさもあります。そこで、近くの大きな病院で診察を受けレントゲンも撮りましたが、「いまのところ異常が見られない」との事でした。最近ではトイレ(和式)にしゃがんだ時でも少し痛みがあります。このままで大丈夫でしょうか?また、股関節の病気ではどのようなものがあるのでしょうか?よろしければ教えてください。」

【回答】

大腿骨と骨盤の関節は、股(こ)関節といいます。あぐらをかくような動作で外側のあたりが痛いということですが、これは股関節に回旋の外力、もっと詳しく言えば外旋がくわわると痛みがくるようです。股関節の病気がひどくなると、屈曲(まげる)、伸展(のばす)、外転・内転(股を開く・閉める)運動によっても痛くなります。外旋だけで痛いようですから、重大な病気ではないようですが、大きな病気の初期症状であることがあります。回旋運動が本当に障害されているようでしたら、精密検査が必要です。レントゲンがまったく異常ないようでしたらMRI撮影が必要なような気がします。また、場合によっては血液検査が必要なこともあります。
整形外科の診察を受け、異常ないということであれば、一応安心して良いと思います。
以下、一般的な股関節の病気に関してお書きします。

1) 変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)
これはレントゲンを撮ればわかります。
2) 特発性大腿骨頭壊死症(とくはつせいだいたいこっとうえししょう)
ある種の薬(プレドニンなどステロイドホルモンの服用)とか、お酒を長年のんでいる(日本酒で2-3合、20年位)とか、ある種の病気のとき。レントゲンあるいはMRIでわかります。
3) 特発性軟骨融解症(とくはつせいなんこつゆうかいしょう)
リウマチのときみられます。
4) 一過性大腿骨頭骨萎縮症(いっかせいだいたいこっとうこついしゅくしょう)
[概念]
青壮年の股関節に限局した骨萎縮が一過性に生じ、自然回復が得られる疾患である。老人の骨粗鬆症と異なり、全身性の骨粗鬆症はない。

[統計]
年齢は20~50歳に及んでいるが、女性では20~30歳で妊娠後期に発症した例が多く、男性では30歳以降の症例が多い。

[病因・病態]
交感神経が関与するとする説、静脈の圧迫によるとする説、骨の吸収の増加によるとする説などがあるが決定的ではない。

[症状・症候]
外傷や感染の既往はなく、多くは片側の股関節痛が生じる。妊娠に関係のない場合は左右差なく発症するが、妊娠後期に発症した場合は左側に多い。股関節痛は、荷重時に増強し安静時には軽快する特徴がある。関節可動域の制限は軽度のことが多い。股関節痛は数カ月の経過で自然にあるいは保存的治療のみで軽快する。(津山直一、黒川高秀:「整形外科クルズス 改訂第3版」東京、南江堂1997年より引用)
(私はこれではないかと考えています。MRI撮影が役に立ちます。)
5) 関節(かんせつ)リウマチ
手の指の関節、あるいは手首から発症しますし、血液検査でかなりわかります。
6) 痛風(つうふう)
稀に股関節にきます。女性では稀です。
7) 関節鼠(かんせつねずみ)
小さい骨とか軟骨の骨片が関節の中に遊離して、走りまわる。レントゲンで多くはわかります。
8) 関節唇の損傷
関節の袋の中に家の軒のようになった軟骨があり、無理な姿勢をした時などに傷めます。手術をすることはありませんが、比較的長く罹ります。MRIでわかります。
9) 骨・軟骨骨折(こつ・なんこつこっせつ)
関節内で小さな骨折が起こる。軟骨で覆われたごく小さな骨片が関節内に遊離している。けがの経験がある。
10) 結核性関節炎(けっかくせいかんせつえん)
40年ぐらい前だと、第一番に考える病気でした。今では非常に稀となっています。関節痛、運動制限、跛行から徐々に進行します。レントゲンとか血液検査で、初期でもまずわかります。
以上が関節内の骨あるいは関節の袋(関節包、滑膜)の病気あるいはケガによるものです。その他関節のまわりの筋肉、腱の病気、ケガもあります。とにかく整形外科医によくご相談ください。

股関節の病気について-その2

【質問】

「股関節の痛みについて質問です。10年程前から股関節の痛みや違和感を覚えるようになりましたが、徐々に強くなり最近では就寝時にも疼き、我慢できない激痛ではないにしろ「つらい」と思うようになりました。5~6年前くらいから整形外科で診てもらいましたが、「たいしたことはないので様子を見るように・・・・」と言われました。ただ、「臼蓋(きゅうがい)のかぶりがやや浅い」ようですが、これも「軽微なものだから心配ない」とのこと。それからは本などを頼りにプールでの運動や体操などしながら過ごしてきました。しかし一向に状態は改善せず、悪化するばかりです。約2年前からは、歩くと痛い・階段を上ると痛い・ヘンな音がしては激痛がはしる・安静時でも(眠っていても)疼くなど、「つらい」と思うようになってきました。再度整形外科をたずねるのですが、相変わらず「心配ない・・・」です。そんな中で「今の段階では何の治療の対象にもならない」といったことを言われ、疑問や不安を持ちました。

あくまで素人的ですが、専門医の本やHPを見て、臼蓋形成不全に対するRAO(骨盤骨切り術)手術の適応の可能性に興味を持ちました。「痛い」「痛い」でいつまで様子を見るのかと思うと、積極的な治療の適応がかなうなら望みたいと思いました。ちなみに、現在左股関節のCE角は21度、Sharp角は45度で軟骨の減りも骨の変形もないそうです。アドバイスいただければ幸いです。」
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【回答】

他人になかなかわかってもらえない痛みでお困りのようです。睡眠時にも痛みがあって、股関節を動かせば雑音がするということです。現在、積極的に手術の話がないのは、44才という年令的なものからであろうと思います。即ち、もう少し待てば(例えば50才を越せば・・・)人工股関節という非常によい方法(後述:メリットもデメリットもあります)もあるということからか、股関節の動きが比較的良く、レントゲン上でもそんなに悪くないということで手術の話は積極的になされないのでしょう。それでも痛いことは痛いのにまちがいありません。おそらく、関節の適合具合が悪くて、脚の位置や、脚の使い方によって、関節炎が増悪しているときに堪えがたい痛みが発生しているものと推測されます。
治療法について私なりの考え方を述べます。

● まず、長途歩行、重いものをもって歩かない、坂道、階段をドンドンと歩かない、体重を増さない・・・などで痛みはどうなるでしょうか。
● 鎮痛剤を使ってみる。
● 以上でよくならないと、2週間程度入院して、悪い方の脚を牽引(ひっぱる)してみる。
これでよくならないと手術ということになります。
手術ということになれば、
● 関節の破壊がごくごく軽度でしたら、ご指摘のRAOがよいでしょう。
● 関節が中等度傷んでいるなら、骨盤骨切り術(キアリーという名前がついている方法がよくなされます)または大腿骨骨切り術。
● 関節の破壊がひどく、関節をそのまま残しての細工(関節温存して、という表現をします)ができないとなれば人工関節ということになります。ただ、人工関節は関節の一部分を切除して、そこへ人工物を入れるわけですから、この手術をして何年待っても、人工物は自分の骨へと変化はしません。人工関節というものは、人間の体は自分の体の中に外から入ったものを(異物といいます)、常に体外へ排出しようとするメカニズム(一種の拒否反応)が働き、いつかは人工関節の入れかえ再手術が必要となってきます。その期間は平均10~20年後といわれています。

44才とお若いのですから、人工関節手術をするには患者さんも医師も勇気が必要です。痛みがひどいようなら、将来の人工関節をも念頭において、何か手術をするというのも一つの方法です。主治医の意見をよく聞いて、ご自分の生活態度、これからやりたいこと、など・・・よく考えて、どの方法を選ぶかを決めてください。

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▲初期の変形性股関節症       ▲人工股関節

下腿の骨折後の腫れについて

【質問-1】

「30代女性です。事故で右II、III、IV中足骨(足の甲の骨)を開放性骨折し、手術後1ヵ月以上経過して、まだ、足首が腫れ、踵も痛く夜になると足全体が痛みます。病院に行っても、腫れるのはしかたがないから、痛くても歩け歩けと言われます。シップと痛み止めをもらうだけでリハビリもない状態です。本当に痛くても歩いて治すしかないのでしょうか?」

【回答-1】

けが(第II、III、IV中足骨開放骨折)によって、キズは足の甲(足背といいます。)にできていたものと思います。心臓の力によって趾(あしのゆび)先まで行った血液(動脈血)は、主に足背の静脈を通って(静脈血)心臓へ帰っていきます。足背にキズがあったり、ギプスを巻いている間に足首や趾を動かさなくなったりしたために、静脈やリンパ液のもどりが悪くなって腫れているのです。(廃用性 disuse による浮腫といいます。)この静脈やリンパ液の還流をよくするためには、

 ・関節をよく動かすこと(筋肉を使う)
 ・皮膚に刺激を与えて血管にも刺激を与えること

です。このためには足首や趾に力を入れて動かす。とくに風呂に入ったり、風呂あがりに足を宙に浮かせて、足首や趾をのばしたり、上に向けたり、グッと力を入れること(歩くこととはちがいます。)、そして血管に刺激を与えるために、風呂で足をぬくめて、冷たい水道水をかけること・・・ぬくめる→水道水→ぬくめる・・・をくり返してみてください。
歩いて痛いのは、けがのためでもありますが、ギプスを巻いたあとのためと思います。これも風呂に入った時、痛いところをよくさすって、歩いて、段々に慣らしていってください。

【質問-2】

「中学生の男子です。事故で右足下腿を骨折しました。ギブスを、大腿骨から足の甲の所までしています。2週間以上経過していますが、今でも時々痛みがあり、どこか悪いところがあるのか心配です。よろしくおねがいします。」

【回答-2】

中学生といえば、手術をするか、手術をしないかの境目です。(骨癒合の割合、社会復帰を考えて)ギプス固定されているのですから、手術をしないで普通のように治ると判断されたのでしょう。今の痛みはギプスによるものです。

 ・ ギプスがゆるくなって、ギプスの中で骨折部がわずかに動いて痛い。
 ・ ギプスによってあたりができて、その部分が痛い。
 ・ ギプスによって右足(下腿といいます)がしめつけられたようになって、下腿から足部にかけて血液の循環が悪くなって痛い。
 ・ 足を下に下げるので、血の還りが悪くなり腫れることで、足全体を押さえつけられたようになって痛い。
ことなどが考えられます。

趾の痛み、ハレ、蒼白、ジンジンしたしびれ、動きが悪い、触ってわかりにくいなどの症状があれば、すぐ医療機関に行ってください。これらの症状を防ぐためには、なるべく足を高くしておいてください。休むときには2、3枚の座布団の上に足を置いてみてください。また、ギプスから外に出ているところ(趾)を曲げたり、のばしたり、ギプスを巻いた下腿に力を入れて宙に浮かせる練習などをしてください。その他にはギプスを巻いたまま膝をピンと伸ばそうとして、膝に力を入れる練習もしてみてください。